クライミングをされる方にとっては当たり前のハーネスですが、一般ハイカーの方でも「劔岳登山」「奥穂高岳登山」などに参加される際には、このハーネスの装着や自己確保のためのランヤードを作成する必要があります。
そのため、ツアーに参加される前段階に、しっかりと学んでおきましょう!
【はじめに】
ハーネスは、激しい滑落を想定したスポーツクライミングなどで使用する「セパレートタイプ」と、アイゼンや登山靴を履いたたままでも装着がしやすい「ダイアパータイプ」に大別されます。
※ダイアパー=おむつ
ここでは主に一般登山道で使用されることが多い「ダイアパータイプ」について解説しています。
【手順1】
ダイアパータイプは、ウエスト部分とレッグループ部分の留め具を外すことが出来るため、腰や脚部に巻き付けてから留める構造になっているため、慣れていないと装着する向きが分からなくなってしまうことがあります。
使用するハーネスの向きを良く確認しておきましょう。
※写真は留め具をすべて外した状態です
【手順2】
まずハーネスの上下と左右を確認したら、腰回りにハーネスを当てて、股下からビレイループ(写真の赤白の輪っか部分)を持ち上げます。
【手順3】
ビレイループにウエストベルトを通します。
この時、ウェストベルトやレッグループが捻じれていないか確認しましょう。
【手順4】
ビレイループに通したウエストベルトを留め具に通して固定します。
タイプによっては、ウエストベルトのすっぽ抜けを防止するために、安全ラインが記されていますので、それに従って安全ライン内に収まるよう固定します。
この時、クライミング中に体がひっくり返ってもハーネスから体が抜け出ないように、しっかりと骨盤の上にウエストベルトが位置するように調整しましょう。
【手順5】
ウエスト部分の固定が完了したら、太もも部分のレッグループを留め具で固定します。
レッグループ部分も締めを調整できるタイプがほとんどですので、滑落して体が反転した際に抜け落ちないようしっかりと締めておきましょう。
最後に全体のベルトに“捻じれ・ゆるみ”が無いか、良く確認しておきましょう。
岩稜帯の続く登山道などには、安全確保のためにクサリがつけられていることがあります。
足場が乾いていて風が無ければ、比較的安全に通行できる箇所も、少し湿っていたり風が吹いているような環境ではその様相が一変します。
精神的な恐怖を強力にカバーしてくれるのが「セルフビレイ(自己確保)システム」です。
このページでは、装着したハーネスに「ランヤード(命綱)」を準備する手順について解説します。
※なお、このページではスリングによるランヤード作成をハーネスの「タイ・イン・ポイント」に通す方法で紹介しています。指導者によっては「ビレイループ」に通す手法を指導していますので、実際は現場での指示に従ってください
【手順1】
正しく装着したハーネスの「タイ・イン・ポイント」に120cmスリングを上下に通します。
※タイ・イン・ポイントはウエストベルト側(写真:赤いベルト部分)とレッグループ側(写真:黒いベルト部分)の2カ所となります
【手順2】
上下のタイ・イン・ポイントに通した120cnスリングを「ガース・ヒッチ」で固定します。
※スリング片側の輪っか部分(ループ)に反対側のスリングを全て通して、締め上げる
【手順3】
ガースヒッチした際に、ハーネスのタイ・イン・ポイントにスリングの接合部分(縫い合わせ部分)が干渉しないように注意しましょう。
【手順4】
シングルランヤードはそのままだと長すぎて扱いづらくなることがあるので、中間支点を作ります。
スリングの中間部分で「オーバー・ハンド・ノット」で結び目を作ります。
【手順5】
出来上がったランヤードの先端に「安全環つきカラビナ」を取り付けたら完成です。
カラビナを中間支点にもかけて、ハーネス横のギアループにかけておくと良いでしょう。
※前述したシングルランヤードの【手順1~3】までは同じです
【手順4】
ガースヒッチして出来上がったランヤードの先端を二つに分割するため「ラビット・ノット」を作ります。
スリングの中間部分(写真右手)をねじってループ(輪っか)を作ります。
※ラビット・ノットは別名「ダブル・フィギュア・エイト・ループ」と呼称されることもあります
【手順5】
スリング全体における中間部分にループ(輪っか)を作ったら、反対側のスリングの中間部分あたりをループ内に引いて通します。
※写真では右手で作ったループ部分に、左手に持ったスリングの中間あたりを通す流れです
【手順6】
いまループに通したスリングが輪っか状になっているので、それを「ノット部分(結び目)とスリング先端部分」を乗り越えるように通します。
※写真では右手に持った輪っか部分を、左手で持ったスリング部分を全て乗り越えるように掛けていきます
【手順7】
輪っか部分が乗り越えたスリングの先端部分を引き上げて締め上げると、先端が2カ所に分かれて完成。
ウサギの耳のように見えることから「ラビット・ノット」と呼ばれています。
【手順8】
ふたつに分かれたそれぞれのスリング先端に「安全環付きカラビナ」を装着したら完成です。
これで、移動を伴うクサリ場など危険個所の通過に備えられます。
いかがでしたか?
これらの知識や技術は、学んでいくと奥が深く、一般ハイカーの方にも役立つ内容です。
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