少し前の話になりますが、山小屋滞在中に体調不良者の救護活動を行いました。
※プライバシーに配慮し、日付や場所は記しません
時刻は日付が変わった午前1時30分。
私が夜中にトイレを済ませ、寝場所へ戻ろうとしたとき、トイレの前で何やら話声が聞こえ、見たところ男女3人が固まっていました。
そういえば、さっきトイレへ向かう前、私のいる小屋の2階部分で、階下から嗚咽のような声が聞こえたのを思い出しました。
もしかしてと思い、声をかけたところ、やはり女性1名が体調が優れないとのこと。
小屋のトイレとはいっても、小屋外からもアクセス出来る構造のため、ほとんど屋外の外気温と変わらず、この時はマイナス10℃を割っていたと思います。
吐き気と下痢が治まらないということでしたが、少し本人が落ち着いたタイミングで小屋の中へ入って横になるよう促しました。
程なくし、物音で気づいたのか小屋番さんが駆けつけてくれ、薪ストーブに火を灯してくれました、有難い。
この時点ではまだ細かい状況判断ができていませんでしたが、「低体温症」ということは容易に想像出来ました。
体調不良者にはシュラフや毛布をかけ、ナルゲン湯たんぽで体幹や足部を加温、とにかく深部体温を温めるよう処置をしました。
幸い意識はハッキリしていましたが、会話は所々で受けこたえがゆっくりな場面もあり、脳機能低下も引き起こしていると考えました。
付き添い者にもヒアリングをし、前日からの状態もおおよそ把握しました。
嘔吐と下痢で食事をまともにとれていないとなると、低血糖や脱水も引き起こしていると思われました。
幸い本人の意識があったので、救急セットに入れているブドウ糖を砕いて口に含ませました。
しばらくして、白湯をスプーンでひと口、ふた口と口に入れました。
その間も30分置きにバイタル(脈拍や体温)を記録するよう、付き添い者には依頼。
救護開始から1時間ほどして、深部体温が温まってきたためか、本人が若干の眠気を訴えてきたので、ひとまず落ち着いたと判断しました。
おそらく傷病者自身の足で下山することは難しいと思われたため、傷病者本人とパーティのリーダーに確認をとり、ここで救護要請をしました。
一連の救護が一段落したのは明け方5時過ぎでしたが、その後傷病者のパーティには撤収を進めてもらい、救助隊の到着と同時に行動できるよう促しました。
私もこの日は早朝の出発だったので、後のことをパーティのリーダーに託し、小屋を後にしました。
後に知った情報では救急隊の到着は8時頃、救助班の到着は9時くらいだったようです。
傷病者は無事に救急搬送され、治療を受け、その日のうちに回復し帰宅をしたそうです。
本当に良かった…
・・・
ここからは私の振り返りです。
まずは傷病者の状態を冷静に見るコトが出来て良かったと思っています。
私は医療従事者ではありませんが、山というフィールドは、常に野外救急の可能性があると、改めて思い知らされた出来事でした。
ちょうど先日、野外救急法を学んでいたことも、今回の冷静な対応につながったかと思っています。
いま思えば、傷病者を前にしたパーティの
メンバーは小屋に収容して、安静にするという考えに至らなかったのかな?とも考えました。
何が良い、悪いということではなく、傷病者を前にした時に、いま出来るベストな方法をすぐに行動に移す、ということは思っているほど簡単なことではないかも知れません。
それでも、今回の出来事やその共有が、今後の安全登山につながればと思っています。
山小屋の存在もこうした緊急時には本当にありがたいですね。

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