
これは、日本人女性として初めてエベレスト登頂、七大陸最高峰登頂を果たした田部井淳子さんの傍らで苦楽を共にした、北村節子さんの著書。
およそピッケルと口紅だなんて、世の中じゃ正反対に存在していそうなモノたちを手にして奮闘した、女性たちのエピソードです。
実は私自身は田部井淳子さんの偉業のことはあまり詳しくは知らなかったです。
エベレスト登頂を果たしたのが1975年だから…実に半世紀前!
メディアで拝見する生前の田部井さんの姿は、気さくで優しいオバチャン。
女性のための登山ツアーを開催したり、震災の復興のために登山教室をされたりと、私は彼女が若かりし頃の偉業についてはあまりよく分かっておらず、その後の活動についてしか知らなかったんですね。
でも、今回この北村さんの著書を読んで、その疑問が氷解したような気がします。
田部井さんがなぜ、そういった困難な登山に挑み続けることに至ったのか?
そして、その旅路は苦しくも、驚きと幸せに満ちたものであったということ。
私はこの北村さんが綴る言葉のひとつひとつに、田部井さんや仲間として支え合ってきた方々への愛情を、ひしひしと感じました。
痛快?爽快?
例えが上手く見つかりませんが、彼女たちの成してきた山での活動や、大切な心の持ち方を、私はこの本から教わったような気がしています。
いつまでも心に残る一冊になりました。
ありがとう、北村さん、田部井さん。
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ピッケルと口紅 北村節子著
ヤマケイ文庫 ISBN 9784635050159
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